
私たちが皆様にお届けしている「石油」は、現代の生活に欠かせない貴重なエネルギーです。しかし一方で、その使用時には地球環境に対し少なからず負荷を与えていることもまた事実です。コスモ石油グループは、環境にやさしい石油製品の開発や提供に取り組む一方で、再生可能エネルギーの導入や生物多様性の保全など、かけがえのない地球環境を次の世代へ残すためのさまざまな活動に力を入れています。
地球温暖化防止への取り組みは、化石燃料を扱うコスモ石油グループにとって極めて重要なテーマです。原油の生産から製品輸送・貯蔵におけるさまざまな段階でCO2を排出していますが、そのうち約6割を精製部門が占めています。そのためハード面(高効率器の導入)、ソフト面(運転効率の改善)の両面から、製油所の社員が一丸となって省エネルギーに努めています。
2010年度のCO2排出量削減は、ガスコンプレッサーおよび加熱炉の効率改善等のハード対策が寄与したほか、運転条件の見直しや蒸気使用量の低減などソフト面での対策にも注力しました。
第3次連結中期環境計画では、2010年度の製油所におけるCO2削減目標(個々の施策効果の積上げ)を年間16,800トン(原油換算で6,400kl相当)としていましたが、最終的な実績では年間29,000トン(原油換算で11,080kl相当)と目標を大きく上回る削減を実現し、目標を達成しました。ただし、CO2総排出量は、堺製油所に導入した重質油分解装置群が本格稼働した影響を受けて増加しています。今後ともエネルギー企業として社会全体の省エネルギー機運をけん引していけるよう、エネルギー企業ならではの発想で省エネルギー施策の新しい取り組みと確実な実行、また、既存の改善策の継続に取り組んでいきます。
4製油所のエネルギー消費量 ![]()
4製油所のCO2排出量 ![]()
※エネルギー消費原単位とは、製油所の総エネルギー消費量を精製技術の複雑度を考慮した原油換算処理量で割った値で、単位は、kl-原油/千klで表します。総エネルギー消費量は、熱や電気などの各種エネルギーの使用量を原油換算し、単位はkl-原油です。
※2006年度からCO2の算定方法を「地球温暖化対策の推進に関する法律」に定める方法に変更しました。
※2010年度のCO2排出量は2009年度の電力のCO2排出係数で、2009年度のCO2排出量は2008年度の電力のCO2排出係数で算出しています。2008年度以前は当該年度の電力のCO2排出係数で算出しています。
※図に示したほかに、触媒再生塔からら一酸化二窒素(N2O)が21千t -CO2eq発生しています(2010年度)
留萌風力発電所
コスモ石油は、地球温暖化ガスを排出しない、再生可能なクリーンエネルギーである風力発電による電力供給事業を推進しています。
2010年3月、国内風力発電事業のパイオニアであり、風況の良い東北・北海道に多くの風力発電設備を持つエコ・パワー(株)をコスモ石油グループの一員に迎えました。2011年3月末現在でコスモ石油グループとして、風車131基、総発電能力148,510kWの設備を所有しています。2010年度は、250GWh*の電力を風力により発電して供給しました。
この年間発電量は、約14万トンのCO2削減量に相当します。 ![]()
*1GWh=1,000,000kWh
秦嶺山脈にいるキンシコウ
コスモ石油は、2010年2月に企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB*)に加入し、同団体が開発した「企業と生物多様性の関係性マップ®」を参考に、事業領域における生物多様性への影響の把握に努めています。コスモ石油グループが展開する石油開発や精製、輸送・販売にいたる全事業において生物多様性に影響を与える可能性があることを認識し、今後も安全かつ安定した操業を行うことで、生物多様性への影響を最小限にとどめる努力を続けていきます。
また、エコカード会員の皆様の寄付によって支えられている「コスモ石油エコカード基金」においても、これまでも「秦嶺山脈 森林生態系回復プロジェクト」など生物多様性の保全をめざす活動を実施していましたが、2010年度より新たに「生物多様性の保全」を活動テーマに加え、生物多様性をキーワードとした活動を展開しています。さらに、コスモ石油千葉製油所、堺製油所およびコスモ松山石油(株)において里山保全活動を継続的に実施し、生物多様性の保全に努めていきます。
*Japan Business Initiative for Biodiversity=企業と生物多様性イニシアティブ
「石油」と「非石油」、このふたつの側面から時代のニーズに合った環境技術を追求していきます。
コスモ石油(株)
中央研究所
精製技術グループ
中嶋 伸昌
ガソリンや軽油、重油は、原料である原油を蒸留・脱硫等の各プロセスで精製して製造されます。そのなかでも原料油から硫黄分を取り除く脱硫プロセスは、サルファーフリー( 硫黄分10ppm*1以下)が要求される自動車用燃料の製造において最近特に発展してきた技術であり、脱硫のための触媒の高性能化が重要となります。この触媒高性能化を達成し、さらなる技術の向上をめざして研究するのが私の仕事です。サルファーフリー燃料は、自動車から排出される有害ガス(NOX*2、PM*3、HC*4)を除去する後処理装置を効果的に働かせるためになくてはならない燃料であり、世界に先駆けて日本で導入された燃料です。
脱硫触媒に限らず、各プロセスで使用される触媒は、触媒メーカーから購入して使用しているケースが多いと思います。しかしコスモ石油では、従来からの知見を活かし、市販触媒にはない高性能な特長を有する自社触媒の開発ならびにプロセスへの適用を実施するなど、触媒研究に力を入れています。
同時に中央研究所では、廃棄物削減等を目的とした環境技術、化石燃料以外での新エネルギー技術、発酵を利用したALA(5-アミノレブリン酸)の生産技術開発など、環境保全に役立つ技術開発にも力を入れていきたいと考えています。
*1 ppm=0.001%(100万分の1をあらわす単位) *2 NOx=窒素酸化物 *3 PM=粒子状物質 *4 HC=炭化水素


